二十三分五十七秒 桃太郎伝説 パンフレットより
ー二十三分五十七秒 桃太郎外伝一
この題名を見て、おそらく大半の方は「なんだ23分57秒で終わるショート時代劇の番外編かい?」と思ったことだろう。
タイトル1つで、ある程度イメージが固定されてしまう恐さを予測しながらも、敢えてこれに決めたのは一冊の幼児向け「ももたろう」を目にした時のことである。
物語の最後にやや教訓めいたくだりがある。「これのもとの話は、戦争中、日本は植民地をもつ西欧列強を鬼に、自身を桃太郎にたとえ、軍国主義の 伝に利用しようとしたものですが、これはあくまで昔話として・ ・ ・」
いづれの昔話をとっても、たとえどこぞの誰の口からどの様に語りつがれようと、もしくはそれが時を経て全く事実と異なったものに虚色されてしまっていたとしても、そこにはその時代背景なるものがあるわけで、それはもしかしたら、矛盾した現実にどうにも立 ちうちできない人々の、切なる声たちが“物語” というベールにうまく封印されて、たちあがってきたものなのかもしれない。そういう意味では現代も着々と昔話の時を刻みつつあるようだーー未来に語り つがれる相手のいない昔話を一一